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『水没ピアノ~鏡創士がひきもどす犯罪~』佐藤友哉
ユヤタン(佐藤友哉の愛称)レビュー二回目にして、ユヤタンの三作目。

二作目の『エナメルを塗った魂の比重~鏡稜子ときせかえ密室~』のレビューは、内容が人を選びそうなので無いです。
高校時代の自分なら『エナメル~』も好んだでしょうが、読書の方向性が変わっている現在、表面的なストーリーがしんどかったので割愛ということです。しかし、『エナメル~』の構成とか、エンターテイメントの一つである小説としての本質的な部分ではとてもよく出来ていて、お勧めではありますよ。と。

そいで、本作『水没ピアノ』の紹介。
この読み口軽さで、この内容の緻密さと、終盤の衝撃が出るのはすごい。
内容が読み口の軽さに左右されるとは言わないが、さらりと語られる物語からひっそりと隔されていた部分が「ひきもどされる」ときの衝撃は圧巻の一言。
得てして、ほのぼのとした展開(本作はほのぼのした内容ではないけれど)から迎えるラストというものは、半透明の伏線を元にじわじわと頂点へ高まっていくけれど、本作は違う。半透明の伏線をさらに半分露出させているままで、進んで行って、最後に残り半分を突きつけて終わる。その割り切った潔さがとても心地よく響く。

久々に、これは構成の勝利ではなく、作者の勝利だ。と思った作品。



水没ピアノ―鏡創士がひきもどす犯罪 (講談社文庫 さ 87-3)水没ピアノ―鏡創士がひきもどす犯罪 (講談社文庫 さ 87-3)
(2008/04/15)
佐藤 友哉

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【2008/05/25 23:53】 | こむじゅの本棚 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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